例えば入会をお断りしたり、継続をお断りする例

だいたい、このような零細教室で、入会希望される方を拒む理由はないものです。
 
しかし、設立十年近くを振り返ると、実際には事実として私はそれを行って来ました。主な原因は、常識的な応対の出来ない方には、例えその方がどれほど通ってみたいと口で言っていても、ちょうど空いた時間がないだとか、そんな理由をつけて。まあ、滅多にあることではありません。
 
また同様に、レッスン受講を継続希望される方を拒んだことは、幾度かありました。レッスン料金も比較的安く、講師はたいてい物腰柔らかく、可能な限りやさしく、応対をするものです。それに乗じて非常識な程度に我が儘を言い出す方、或る意味こういう方はどうしても出て来てしまいます。しかしそこに、人として相対する人間への最低限の敬意までもが感じられなくなった時、異常にやさしくてお人好しでそこを責められるようなほどの私も、容赦はしません。
 
ボイストレイナーに権威も何もありませんが、先人として先生と呼ばれる身と、対して年齢の上下を問わず生徒さんという身。師弟関係などと大げさなことを要求したこともありませんし、生徒さんによっては私などより人生経験ゆたかで、人にやさしく出来る敬愛すべき方もあり、時にどちらが先生か分からないような態度をとったりもする私です。今後もそのままにあり続けます。
 
つまりは単純です。講師対生徒は、人対人の関係に違いないのです。
今日、私は、遅刻をひとつの例に挙げて、若者にお断りを申し上げました。まだ若いこの青年の今後の成長の為に尽力するには関係が浅過ぎ、既に私は我慢をしすぎていました。義務教育か躾か、といった面についてまでは、私は決して関われないのだなあと、むなしさに似た気持ちでいっぱいです。今後は、ちょっと改めて、わずかなお金の為に我慢するようなことはせずに、先へ進もうと思いました。
 
なんとまあ人間臭い記事になってしまったことでしょう。いやいやだって。生業なんですもの。