非常に残念な例のひとつに、コンディション不良がありました。
寝起き、風邪ひき、鼻づまり。
私は、その状態で来てしまった子を責めたりは一切しません。これは通常のレッスンでも言えることで、むしろ軽い風邪症状で喉が痛い、なんていう場合は、無理せずいらっしゃいと言うくらいです(理由は常々述べている通り、意識せずに喉をかばうことが出来るからです)。そういった例と同様に、「寝起きじゃ声は出しづらい」「風邪をひいたら歌う気分にもならない」「鼻が詰まったら歌いにくかろう」なんてことは、通常の生活の中でも気づいて分かるものではあります。が、それを体感して貰えればいいと思うんです。そして、
声を出さなきゃならないという日は、一般の方には非日常であるかもしれないけれど、いざそんな機会が巡って来たら、その日の為にどんな注意を払っておくべきなのか、ということはお分かりになるかということ。そして、それを職業にしている人は、常々そういったことに注意を払っているに違いないということ。もし声を使う職業を目指すならば、そういったことなら日々体感することだって出来ることに気づいて欲しいなと思うのです。
でまあ、ご本人そんな状況でしたし、良いも悪いも体感できぬまま、去って行かれたものでした。もしも、あの日はなかったことになってしまっていないか、それだけが心配です。