リズムトレーニングをやってみた

こんにちは。シブイオンガクスタヂオの石村吹雪です。

 

さる夏の終わり、紹介された三輪昭憲なる人による、リズムトレーニングコースは、さしたる準備期間もなく唐突に、シブイオンガクスタヂオの中で開講されています。そう、初めて会ってまずブログのパスワードを渡して、書いて書いて、とお願いしたらどんどん書いて下さったところから、澱みないペースで、シブイ講師となってもらった次第です。

 

これ、小浜田知子にお願いした時もほぼ同じくらいの気やすさだったと思います。私は、自分の目を疑いません。ちなみに彼の場合の決め手は、左投げ右打ちです。滅多に出会えるもんじゃありません。なるほどなあ、と思いました。

 

で。実際にレッスンを継続的に始めている方から、素敵な体験記が入りましたので、一言一句そのまんま、ご紹介します。私自身、このコースの意義深さについては大変、痛いほど感じているものですが、実際のところ、どう紹介したらいいのやら困り果てていたものです。助かります。

 

——以下

歌をうたったり、楽器を演奏する人々の多くにとって、リズムは、すぐ近くにあるもののあまりフォーカスすることはない、さながら話はすれどサシで遊ぶほどではない仲間のような存在なのではないか。
しかし、歌や演奏が本来のリズムより早くなったり遅れたりしてしまう、キンチョーしてリズムも何もワケわからなくなったまま終わってしまう、といった経験のある方は少なくないだろう。
かくいう私もその一人で、リズムというものは、できるだけ向き合いたくないトラウマチックなものという印象さえ抱いているほどだ。
そんなところに、まさに彗星のごとく現れたリズムトレーニングクラス。
タイトルからして、かゆい、いや痛いところを突かれるようなクラスである。
しかし…もしこの憎きリズムを攻略できるとすれば、もっと音楽を楽しめるようになるのではないか?音楽の解像度がぐっと上がるのではないか?
そういう期待と確信があり(当時のシブイブログから垣間見えた先生の個性にも惹かれ)、もう諸々の恥を晒そうと肚をくくり、そのドアをノックするに至った。
レッスンは先生と向かい合い、ドラムのスティックをはじめいろんな小道具を使って、いろんなテンポでなめらかに拍を刻み体感する練習をしたり、日本の学校では教わらないリズムの基礎的な知識を教わったりする。
このような練習を通して、まずは自分の体内に安定したリズムの時計のような、いつでも帰ってこれるホームポジションのようなもの(と、私は解釈している)をつくっていっているところである。
スティックを持つのもリズムをカウントするのも慣れないことだらけで、レッスン中常に挙動不審だが、それゆえになおさら、えもいわれぬトキメキがある。
これまでずっと見て見ぬふりをしてきて、そのためにガチガチに凝り固まっていたツボがダイレクトに刺激される感じ。
これやん、今の自分に必要なこと!これちゃんとやったら絶対上手くなるやん!楽しくなるやん!と、毎回素人ながらに感じられる。
もちろん、こうした練習は、特にはじめのうちはびっくりするほど上手くいかない。が、先生が優しく最大限の敬意を払い見守って下さるので、さほど打ちひしがれることなくトライアンドエラーを重ねることができる。
(自主練がんばります)
実際にこのレッスンを受け始めてからとある音楽のセッションに参加する機会があったが、リズムの感じ方が明確になり楽しく音楽に乗れたり、今まで余裕がなくて聴けなかったベースラインの刻みがふっと聞こえてきたりと、以前よりも音楽を広い視野で捉えられている感覚があった。早速少し効果が出ているようである。
また、これはあくまで個人の感覚だが、このレッスンでリズムに集中し、戯れ、翻弄される間、日常のストレスや雑多なことを驚くほど忘れることができる。一種の瞑想状態に陥っているのかもしれない。
そこまではいかなくとも、普段やらないかつシンプルな動作を繰り返し、集中してやるということ、それを音楽とリンクさせようとする訓練そのものが、脳や身体、神経にかなり良い刺激になっていると感じる。
とにかくレッスン終了後に感じられる妙なすっきり感たるや、このレッスンのセラピーとしての可能性すら感じるほどである。
そんな、この広い東京、いや日本にもありそうでなかなかない、リズムとサシでしっぽりと向き合うリズムトレーニングクラス、一度体験してみてはいかがだろうか。

——以上

どうです?人によっていろんな価値観があると思います。私などは、三輪さんのお話を聞くだけで価値があると思うタイプです。この向画一社会からはぐれて尚たくましく、かつ真面目に生きている人の言葉は、趣にあふれています。そして僕は、真面目な人大好きなんです。忘年会参加された方はお分かりと思います。微塵も口から出まかせが出て来そうもない人ですよね。小浜田知子が戸惑いがちに紹介してくれたのもわかる気がする、生真面目さ。しかし私の目には即採用、となったのは当たり前なのです。

 

ちかごろはボイストレーニングも巷じゃ下火なのかな、と思っています。そろそろ、シブイオンガクスタヂオもカルチャースクール化してみようかしらとさえ、考え始めています。そんなことになったらレッスン時間枠が減りますが、もう背に腹はかえられません。我々は生き残るのです。