発想の転換


なぜ、思ったように声が出ないのか。と、お感じになられる方がありましょう。私自身も勿論そうでした。

どうやら、人間の運動は経験則に依存するようです。

運動選手が、より有効に力を発揮できるようにフォーム改造をした、なんて話はよく聞かれますね。

フォームを変えるって言うのは、実際大変だと思うのですよ。今までの身体の使い方のクセを改める、ということです。

想像してみてください。

猫背気味ですねー、直しましょうねー。と言われて身体を正された時の底知れぬ違和感。

だとか、

訛ってますねー、直しましょうねー、とお手本を示されても全く違いが分からない絶望感。


最早、自分の理解を超えたところに、それはあるのです。理解と言うものは、自分の慣れ親しんだ思考方法、自分の慣れ親しんだ身体運動の延長上で行うからでしょう。

だから、発想の転換は有効です。

今までの発声方法から離れて、全く別のやり方を辿らざるを得ないアプローチ、というものが、理解の助けになります。

それが高じると、自ら三点倒立をしながら呆れるほど大変滑らかに歌ってみせる子も現れて来るわけです。かなり極端な例ですが。


シブイ講師陣は、あの手この手を考え出すことに注力しています。人はそれぞれ違った身体、違った精神、違った人生を持っています。その人その人にとって近道がどこにあるか、常に探って行きます。

レッスンマニュアルがないのも当然です。講師陣の経験知も日進月歩です。思考の型にはまらない方が良い筈です。

と、思い込んでいる私です。時に実にオーソドックスなやり方で到達してしまう人をみると、確かにマニュアルを作ることは可能なんだなと感じます。

が、十人十色とはよく言ったものです。人はみんな違うのです。年齢性別趣味趣向生活環境は当然のこと、性格経験性癖志向、人には言えない悩みからさらにはっきり言って血液型まで。これら全てが一致する人がいるとは思えないのです。

講師との相性は大事、と言うのも想像に難くないと思います。ほとんど、運ですね。

幸運をお祈り申し上げます。