返信たより九月十六日

今週も、まだ始めて日の浅い方からのメールがいただけました。

 石村さま

こんばんは。昨日も新しい発見に満ちたレッスンを、ありがとうございます。飴もご馳走さまでした。


いえいえ。発見されたのはあなたです。発見する人、発見しない人がいます。もちろん、あとから発見することもありましょう。最初のうちは、ことさら目新しいことばかりに感じられることと思います。まるで非日常のことのようですが、だからこそ、常日頃の自分について気がつくことがあるのかも知れません。飴は、これ実はいただきものです。シブイ、いただきものを利用することが多くございます。


喉をぽっかり開けたまま歌うことの難しさを痛感し、日頃いかに自分が喉を締めて歌ったり、話していたのかということに気づきました。
合唱部でソプラノだった母に、高い音でも喉を開けて歌うにはどうすればいいか聞いてみたのですが、「理屈では説明できないね」とばっさり…自力で習得します。

 

喉をぽっかり開けたまま歌う、なんて無茶なことをやってみるわけです。この度合いも人それぞれなのであり、制御の可否も人それぞれです。器用な人も、そうでもない人も、やってみてびっくりされると思います。思いどおりになんか歌えないっっと。はい。大変難しいのです。大事なのは、日頃の自分の癖に気がつくことですね。それを少し変えてみることは可能なのかどうか、これを試みてみないと始まりません。

あらお母様はソプラノ担当でございましたか。もしもそれを苦もなくやりこなしていたとすると、まさに、理屈では説明出来ないものです。だって、出来る人には出来ない人の気持ち、想像も出来ませんもの。そして多くの場合、理屈などすっ飛ばして習得するものですから。

では何故、理屈が改めて必要となるかと言うと、大人は理屈で安心します。または、他の経験知が活かせることが多いから、です。

レッスンの後、カラオケに行ってきました。
「1時間半以上歌う場合は、3時間パックにした方がお得ですよ!」
そんな売り文句につられて、まさかの1人カラオケ3時間に初挑戦。

 

行っちゃいましたか。あなたも。

ここに通ってる方も続々ひとりでカラオケに行かれる方が増えています。しかもほとんどが、初めてでおっかなびっくり、という皆さん。自由に声が出せるということ、及び、自分で試行錯誤が出来るという点でも、いいと思います。私は未体験ですが。

色々発見がありましたので、まとめます。


まとめていただけると、大変助かります。


・喉を開けたまま歌うのはやはり難しい。特に、好きな歌詞とか好きなメロディー部分に入ると、気持ちが盛り上がる&絶対音外さないで上手く歌いたいと思うがあまり、喉がキューっと締まる。


素晴らしい発見ですね。まったくそれが、多くの方にあてはまる現象だと思います。今ままで何百人とそのような会話をして来たことでしょう。歌を歌ううえで気持ちは大切です。ところが、発声という観点からは逆効果な身体の使い方をしてしまっている自分、に気がついたわけです。


・喉を開けることがなかなか難しいので、口を思いっきり開けて歌ってみたら、何だか歌いやすくて、ちょっと感動!息を吐こうと意識しなくても、パーっと抵抗なく出ていってしまう感じ。
しかも口を開けることで顔をぐわんぐわん動かさざるを得なくなり、つられて口角が上がり目も開く。
歌う時に意識すべきことの幾つかが、大口開けてみただけで自然にできた!
あと、口を開けて歌うとなぜか楽しくなってノリノリに。


正直、眼球周辺の動きに乏しいあなたがノリノリになっている姿がまるきり想像出来ないのですが、大変喜ばしいことじゃありませんか。

いわゆるおちょぼ口という表現で合ってると思われる、口が横方向に短いあなたも、そうでない普通の方も、縦方向の開きを意識すると、そのようなことになります。

どうか、その感動を忘れずに。


・口を大きく開け、喉をなるべく締めないようにしつつ、腹式呼吸も意識しながら歌ってみたら、3曲目くらいで背中が汗で湿っていることに気がつく。歌って汗をかいたのは恐らく初めて(冷や汗はある)。歌うって全身運動!


あらら汗ばむ君がすてき。そうです。歌って喉ばかりが疲れるのではなく、全身疲れればいいのです。いろいろな意味で。冷や汗以外にも、たかが歌で汗をかけるのです。それは、呼吸と深く関連がありましょう。吹奏楽出身のあなたは、未経験の方よりも息の出し入れには慣れていることでしょう。そこです。


今回のカラオケで一番感動したことは、口を開けたときの歌いやすさです。呼吸も表情も喉も、全部連動して良くなりました。レッスンでも、日常で人と話す際にも、口を開けることは意識したいと思います。


そうですね。そもそも口の動きが乏しかったのです。是非、所有のiPhoneの壁紙かリマインダーに、口を開け、という言葉を置いておきましょう。日頃目にするところにでもないと、なかなか気をつけ続けるのは難しいです。



前回レッスンの感想を、ブログに載せてくださってありがとうございます。冒頭のご挨拶から掲載していただけるとは思っておらずビックリしました。ちなみに掲載していただいて問題ございません(笑)


大変安心しました。生徒さんの中には、自分のことは書かないでくれとおっしゃる方もあります。それとは正反対で、非常にたすかります。出来るだけ個人が特定されないように、注意致します。(最後の署名は消すとか)


私の気づきひとつひとつに対して添えてくださったコメントがたいへん参考になりました。返信メールの文面とともに常々読み返し、自分が気を付けるべきことを再確認しております。


返信メールも書いて、ここにもこうして書いてみています。なんという手間でしょう。これを時間外労働と呼んでくれる方がいないのが残念です。

実際いままで、同様なメールを沢山いただいて来たものの、それをこのように利用するのは初めての試みです。是非、しばらくお付き合いください。


最近、自分の声に合うキーや曲を見つけ、また歌いやすくなる方法も徐々に身体で覚えてきたことで、歌うことが少し楽しくなった気がします。


もっとも大事なことです。歌うことが少し楽しくなった。これがなければ、いくら皆さん、ちょっとだけでも上手くなりたい、なんて謙虚なことを言っても始まらないのです。歌を歌っているだけならば、誰に咎められることでもありません。どこでだって歌って構わないのです。その量が歌唱に作用しない筈がありません。


目が笑っていなかったり、かと思えば突然笑い出して止まらなくなったりと厄介な生徒ではありますが、引き続き宜しくお願いいたします。


目が笑っていないというのは、確かに不気味です。それは、どこかで誰かに言われた言葉ですね。大丈夫。自力で笑い始めた時は、結構ちゃんと目でも笑えています。私は私なりに私の冗談の力不足を感じればいいだけです。レッスン中、笑いはないとならないと信じています。