寒い季節です。暖房抜きではかちこちに身体に力が入って、疲れやすくさえ感じます。
ボイストレーニングに於いて、身体の柔軟さは大切です。呼吸に悪影響します。
これはあまり広めるべきではないので内緒ですが、みなさん私が数分肩をもんだだけで、息の出入りが全然違います。声の伸びがあっさりかわります。ええ、間違いなく肩こりは敵です。
先月まであった、うたわないコース講師から、幾人か引き継ぎを受けています。
その中に、えらく身体の硬い人があると申し送りがありました。この方のかたさは、一般に言うところの、肩こりがひどくてねえ、なんていうレベルではありません。というのも詳細は省きますが(というより聞いておりません)、身体のご事情はいろいろな方がいらっしゃいます。この言い方はあまり適切ではありませんが、ほぼ病的に致し方なく、というレベルです。呼吸自体が不自由です。でも、ご自身が地道に気を配ってきて、これでも随分やわらかく良くなったとのことなのです。それでも、一般の方よりはもう、笑えないくらい硬いのです。
ですから、持っている息をできる限り全部吐き切る
ということも困難です。すなわち実は吸うことも困難です。
ご本人も、吸えない事象については自覚がありました。
これをまずどうにかしなければなりません。
リラックスする。脱力する。と、言葉では簡単に言えても、それが自分にとってはどういう状態か、ということを客観的に知ることがないまま、今に至ったとしましょう。
ということは、はーい、力抜いてー。と言われても、
ご当人、脱力している状態をご存じないのです。抜けてないのです。
ですから、身体が酸素を欲するところまで息を吐いてみる、という実に単純なこともままならないわけです。こりゃ手ごわいぞ話始まらないじゃないか。
そこで私は未熟な知識の中から思いついたのです。肩こりは血行不良だべ。あっためてみりゃほぐれるんでないの?
シブイ飯田橋には、残置物扱いのエアコンがあります。しかしこれを使うとあまり環境として宜しくないので、昨冬よりホットカーペットを利用しています。この狭い部屋は充分にあったまります。しかも、部屋が狭すぎて床だけでは収まらず、半分は壁に貼り付けてあります。床暖房をはみ出して壁暖房です。
もうお分かりでしょう。尻を床に、背を壁に凭れてみると、想像を絶する暖かさに、一気に眠気がやってくるほどです。じっくり背中をあたためると、身体は嫌が応にもほぐれて来ます。これはすごい。
溜め息ついても欠伸をしても緩まずに吐けなかったのに、さすがに、温泉気分という奴を思い出したようです。
たくさん吐けたら、身体は勝手に吸ってくれます。
この状態を作ることができました。いやー、汗かいた。いっぱい吸う。深く吸う。これをまず覚えてもらう手がかりが出来ました。
何事もそうですが、頭で理解することよりも、体感しなければ納得いきません。ここから、スタートです。