体験レッスン

石村吹雪です。久しぶりにこちらに書きます。このところなぜか20年以上前の、なつかしい体験レッスンの様子を思い出していました。というのも僕は体験レッスン受付を去年の5月以降行なっていないからでしょう。

 

あの頃はまず、電話が鳴ります。レッスン中に鳴っても、代わりに対応してくれる人がいないのは、今も同じ。それでも、当時は受付方法がそれしかなかったので、ぞんざいな対応は許されません。新規お申し込みは少ないです。僅かなチャンスに賭けるのです。

 

お名前をうかがいます。この時点で、滑舌のチェックが出来ます。

 

ご希望の日時をうかがい、こちらの空きを調べながら、決めます。このやり取りの間に、性格や社会性を汲みます。

 

お好きな曲の入ったCD、あるいはカセットテープなど、あと可能ならば楽譜をお持ちください、待合室がございませんので場所をご確認の上、時間ちょうどを目指していらしてください。と言う定型文章も、ほとんど変わりがありません。

 

初めてホームページを作ったのが1998年で、それ以降は電話でのやり取りは減りましたが、変わってメールでのやり取りの間に、その人となりの想像をする癖がついたものでした。

 

時代とともに、お申し込み受付も様変わりしました。今や完全前金制です。入金いただいてはじめて、メールでのやり取りが始まります。敷居上がったなあ。

 

いや。上げないと、モチベーション低い人ばかりが、なんとなーくやって来たり、恐ろしいことになんと、約束通りにやって来なかったりするようになるんですって。だから、上げざるを得なかったのです。

 

話がすこし、逸れました。

そして、当日を迎えます。

 

ではまず、お持ちの音源に合わせて歌っていただきます。

 

というと、半数の方が驚きます。発声練習とか、しないんですか?

 

僕は答えます。ふだん、しますか?だいたい、しないですよね?まずはふだん通りの声をお聞かせください。そこにどんな癖があり、どんな問題点があるか、把握しますから。

 

だいたいの方が、いきなり初対面の講師の前でCDに合わせて歌わされて、大汗かいています。

 

対してこちらは、お声を聴きながら、その曲のコピーをします。コピーとは、伴奏の和音とリズムパターンを聴き取って、弾けるようにすることです。一発勝負ですから、結構集中しています。

 

ほとんどの皆さんは緊張しています。それを差っ引きながら、癖の傾向、度合い、素質、あるいは素養を鑑みて、基礎的な発声がこの時間にどこまで実現できるか?或いは、その先のお話を必要とする人に、その先の可能性についてお話しできるか、を判断します。

 

緊張をとるべく、人によっては一緒に歌ったり、軽口を多めにしたり、或いは、積極的にお話をしてもらったり。いろんな手段を用いました。説明好きの人には、説明中心に。理屈嫌いの人には、考えさせないように。

 

ああ。やってないなあ。体験レッスン。この四年の間に増えた講師の面々に委ねっぱなし。僕はやりたくないのではないのです。やると、事務仕事をする手が足りなくなるのです。仕方がないのです。

 

そして、体験レッスン終盤です。さあじゃあさっきの歌ってみますか、と最初に歌ったCDの曲の伴奏を弾いてみせます。この時、ほとんどの人が感心してくれます。なにせ一度聴いただけですものね。その後、発声指導をしているうちに忘れないように、集中していないとなりません。

 

僕は未だに絶対音感もないし、専門教育は受けていません。だけど楽器を弾くのが好きだから、いっぱいコピーしました。そのおかげで、そのスキルを手に入れました。今や歌詞とコードが載ったサイトが出来てきたので、その労を省くことができるようになりましたが、これが最初からあったとしたら、僕のスキルは磨かれなかったことでしょう。

 

ところで今、つらつら自信ありげに書いていますが、やり方は人それぞれであり、僕のやりやすい方法に過ぎません。

 


また、やりたいな、体験レッスン。面白いもん。と、純粋に思いはじめました。が、今僕は、シブイオンガクスタヂオの運営をする側にいます。これと個人レッスンの両立というかバランスがとても難しいです。

 

ずいぶん以前から宣言している通り、消費税が10%に上がると同時に、シブイオンガクスタヂオのレッスン代は引き上がります。その金額設定の準備など、この夏には始めなくてはなりません。さらに今僕は、人材探しの旅に出ている状態です。シブイ講師陣はそれぞれかなり個性的ですが、それに匹敵する個性派であり且つ、音楽を生業にしたいと強く願う信用できる若いものを探していくのは、社会的責務なのです。

 

が、そのうち急に僕も一枠だけとか、募集をしたりするかもしれませんね。めぐりあわせを、楽しみに。

体験レッスンのお申し込みはこちらより受け付けてございます。