はあ。失敗例は、書くほど胸が痛みます。じゃあ書かなければいいじゃないかとも思いますが、もしかしたら失敗例の方が双方にとって有益なんではないか、と考えた次第。この順番で、書き連ねて参りますよ。
こんな私でも、体験レッスン時に頂いてまだ大事に持っている名刺があります。この方を直接テレビでお見かけしたことはありませんが、長寿の歌芸人さんでした。しかし、残念なことに一年半前に脳出血、左半身不随、シブイ水道橋の階段を杖をついて上がって来られた方。
流しをやっていたから、当然ギターも弾けたしどんな歌でも歌えた。しかし、この身体のせいで声が変だ。とおっしゃるのでした。なるほど。それはきっとそういうものなのでしょう。私は、考え方を改め、声の出し方自体を換えること、そのヒントとして、こんな姿勢で出る声は、いかがでしょうか?と推奨したところ。
「分かった。やってみる。俺は何が何でもまた、歌いたいんだ。ありがとう」
と去って行きました(去る前に、片方の靴が履けなかったので、私手を添えさせて頂きましたが)。その眼光の強さに、本気でたじろいだものでした。きっと、彼はもう歌っていることだろうと、信じています。気合いだな、気合い。あんな気合いは、このお仕事の中で見たことがありませんでした。