体験レッスンで呼吸をやらない場合

ピアノ

そんなケースが、先日ありました。

 

なんでも、娘さんの文化祭で親御さんたちPTAコーラスが一曲歌う のだけれど、なんとなく決まってしまっていた曲が、大変いまどきの歌で、速かったりタイ(シンコペーションのことでしょう)が多くて、歌うのが大変。どん なことを教えてくれるもんなのかと、訪ねて来て下さったということですよ。確かに、稀なケースです。

 

例によって私はいまどきの歌など知らないので(言っちゃなんだがここ二十年以上そんな状態)、案の定CD持って来て頂いた曲も知らなかったんですが(そのCDもCD−Rだったし、私の立場が間違ってるとはさらさら思っていない)、そんな私に「じゃあ何を教えてもらえるんですか?」と質問をされましたよ。いやいや、最近のものなんて一度聴いたら分かりますからと軽く流して、実際に歌っていただいたわけです。

 

この方、歌自体きっと大変お好きで、得意な方です。だから、譜面通りきちんと、16分音符シンコペーションもきっちりなぞって歌っていただけていました。何が問題なのでしょうかと私が訊いちゃったくらいです。ところが、これが実際大変だとおっしゃるのです。

 

そりゃ、コーラスみーんなでこの細かい譜割をきちんと合わせるのは大変でしょうけれど、そんな精度、誰も目指さないことでしょう。そもそも主役は生徒さんたちですしね。で、何が大変かと言えば、「楽譜通りにうたうこと」「おぼえること」。なんだそうで。

 

はい。分かりました。こういうことです。あなたの場合は、楽曲の困難度は繰り返し歌うことで簡単に克服します。歌う時間はありますか?ないですか。おうちでは?うるさいと言われますか。なるほど。時間を作ることが必要かもしれませんね。じゃあとにかくここで今日は沢山歌いましょう。

 

だけど、もう一つこれは忘れないで下さい。この歌はきっと、あなた好みの歌ではない筈です。好きになれたら、覚えるのなんか簡単です。でも、好きになれない場合があります。そうです。おっしゃる通り、この歌詞では、サビがどこなのかすら、分かりませんね。はい、物語もありません。そうなんですそうなんです。いまどきは、そうなんですよ。歌詞見ただけでは歌えない。分かります。でもね、いまどきは、そうなんですよ。音を、楽しむこと、声を、楽しむこと、リズムを、楽しむこと、以上です。とにかく、自分で楽しむとっかかりを見つけないと、おぼえられませんのです。あなたの場合は、覚えてしまったらもう大丈夫です。だから、「このうた、わかんない、つまんない」とは思わないで下さいね。好き嫌いを超越するのも、時代であり世代差ですから。

 

発声についても、本当は呼吸の重大さもお伝えしたかったのですが、ある程度自信を持って歌えちゃう方に、今それをやるよりも大事かと思い、ひたすらその楽曲(一晩もたずに曲名失念。ゲゲゲがなんとか言ってましたが)を、リズムに関して一点だけ注意をしつつ繰り返し、私のギター伴奏でひたすら歌ったものでした(ピアノ曲だったけど)。一時間は短い。

 


無断だなあ。この記事。でも、ご本人読んでないだろうなあ。だからいいか。特殊例だし。ね。