もうどうけんふりふりとまり

 まりさんからメールがやって来た。

まりさんは、十年くらい前に、僕が阿佐ヶ谷でトレイナーを始めた頃に、盲導犬を連れてやって来た。

「病気でこれからどんどん見えなくなって行くんです」と、言っていたのをよく覚えている。

当時、盲導犬を教室に入れていたのは内緒なのだけれど、盲導犬は、噂に違わず、賢い。


話はもどる。



届いたメールは、僕への詫びから始まり、だんだんと目が見えなくなりながら、本を書いた話、それが紹介されている複数の新聞をスキャンした画像と、晴れ晴れとした近況へと連なっていた。


お詫びなどとんでもない。何年かごとに連絡いただけること自体、嬉しいこと。染織家さんが具体的にどんなお仕事かは知らないのだけれど、その目が見えなくなれば、絶望気分になるだろう。


表題が、本の名前。


シブイ水道橋に、当然犬とともにいらっしゃったのは、昨年か一昨年か。僕もいろいろあって、記憶定かじゃないや。