壁を作る

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壁を作る、という言い方は、人との距離を置く、といったような意味合いで使われることの方が多いかもしれません。あまり前向きな言葉としてでなく使用されることが多い、という印象でしょうか。

 

事実、あまりうたわないコース、というコースに於いてレッスンを行う際には、人との壁を越えるだとか、壁を薄くするだとか、壁を壊すだとか、そういったイメージを持って、相手に届く声を自分の中から作り出す、という目標を持っていただくケースが少なくないのです。半分は、気持ちの問題であると私は考えているものですから。

 

しかし、私の今の作業、壁を作る、は、何故かとても前向きな言葉として使っています。物理的には外部と音響的に遮断することを目的としているわけです。でもそのおかげで内部的には、外に聞こえないから安心、といった効果があるかと思っています。声が聞き取ってもらえない、ということも、歌が上手くないわねえ、と思われるようなことも、自分の外の目や耳から得る感覚です。ちょっと安心して自分の声と向き合う、という環境作りを目指す身としては、ちょうど、安息の家を建てるような気分なのかもしれません。なあ。壁作り、始まりました。