いい声で生まれてこなくてよかった。

こんにちは。すっかりご無沙汰をしております。シブイオンガクスタヂオの石村吹雪です。

 

ボイストレイナーを生業にして、ちょうど二十年が過ぎました。本当は十一月ちゅうに書きたかったのですが、時間が足りませんでした。

 

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私は大学もてきとうに選んだ法学部卒ですし、歌は下手の横好きに過ぎず、ましてそもそも声が小さくて苦労したくらいでした。

 

学校の先生からはからかわれ、親からはそれを叱咤されて、育ちました。大好きだった野球を辞めざるを得なかったのは、野球部は元気な大声が必須だからでした。歌はといえば、ただただ好きなだけ。

 

教室でも、部室でも、練習スタジオでも、居酒屋でも、楽屋でも、ステージでも、声の届かない性格はますます内向化し萎縮しひねくれ、常に右斜めから無表情にまっすぐモノを呟く、不気味な青年になっていました。すぐに結論を言う私を嫌った人は、案外多かったでしょう。

 

長く歌いたい、できればお金をいただけるくらい、という明確な希望を持って、この上なく小さな町教室で、ボイストレーニングを学びました。ひねくれてますから、大手に行くわけがありません。

 

月8回を一年間、月4回を一年間、教室に通って、講師になりました。先生が、最初はできないから期待してないけど、石村さんできるから、と言うから。今や音楽とは無関係でおられることだろう斎藤長行氏が、私にとって最も必要だったチャンスというものを、くださいました。それだけは、感謝をあらわさなければなりません。ありがとうございました。(一応世界に向かって書きました。)

 

さておき。

なにせ二十年、いろいろありました。ここ数年で、私も同じようにチャンスを与える立場になりました。なので、ようやく私も、好きなことをしてみようと思います。例えば。

 

本当に声に困っている人のための

あまりうたわないボイストレーニング

集団講座で、今その開催場所を検討しています。

個人レッスンの意義とそれに対する強い思いは今までたくさん書いて来た通り変わりませんが、とにかく私は外に出たくなってまいりました。なのでついでに、

 

カラオケボックスへの出張レッスン

というのも始めようと思います。

都内交通費別途、、当面一時間五千円を目処に承ろうかと。もちろん、個人でなくとも結構ですが。

 

 

初めて読まれる方のために長々と自分のことを今回は書きました。もう私自身は、自分自身の体験を踏まえ、あまりうたわないコースに特化対応できればいいのではないか、と考えています。せっかくこれだけ、いい声だいい声だと言ってもらえるようになったわけですから。

 

 

ボイストレーナー二十年を記念して、思います。

いい声で生まれてこなくてよかった。

だって、こんなお仕事に恵まれたのだもの。

 

(二十周年特別寄稿は、年内まだつづきます。)