退会しない会員

ご存知の通り、シブイオンガクスタヂオは2003年末に水道橋教室をひらき、2010年に春奈鈴が水道橋を引き継ぐ形で講師につくまで、ほぼ一人で運営していました。

 

ですからついつい、自分一人で運営している気になりがちですが、もはや今、現在は私以外の講師が担当する生徒さんの数が圧倒的に多数派です。しかも、今年は私自身が体験レッスンの受付をほぼストップしています。まれに強く希望される方のみ、受け付けている次第です。

 

なぜ?それでいいの?

 

いいのかどうかは、わかりません。ただ一つ言えることは、それでもなんとかシブイさんはつぶれずに済んでいるということです。

 

そしてもう一つの疑問符、なぜかといえば、退会しない会員さんに囲まれているからです。いつまで経っても枠が空かない。募集のしようがない。理由はつまりそういうことです。そろそろ、入会以後の会員期間の平均値を計算してもいいかもしれません。

 

正真正銘、ありがたいことです。と言えます。(急にみんないなくなってしまったら、大急ぎで募集をするよ。)

 

 

しかしここへ来て、思い入れも深い会員が一人、去ることになりました。第五回シブイ音楽祭の記事のなかで、この時ただひとり記事内で言及していたその子です。あれから、もう音楽祭は卒業だ、と言って、その後は一切イベントには出場しませんでしたが、かと言ってここへ通うことをやめた訳でもなく、思えばさらにあれから七年、さらに通い続けてくれていました。入会したのは実に、私が独立する前の教室の最後の秋すなわち、2003年の秋です。当時まだ、高校生でしたか。

 

 

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ところでシブイさんを退会するのは、簡単です。最も手軽な方法は、二度と来ないことです。その際、一ヶ月分のレッスン代を支払っておくか、おかないかで、その当時の印象は大きく変わりますが、時を経てみると、大差なくなってしまいます。もちろんきちんとご挨拶の上、わざわざ手土産までお持ちくださる方も多いです。

 

理由は様々です。上手くなる気がしない、という方もあれば、仕事が変わって、住居が変わって、或いは結婚を機に、またはなんと離婚を機に、なんて方もありました。経済的に苦しくなったという悔しい顔も覚えていますし、音楽は辞めるので、という清々しい顔も。ちなみに史上残念な二大理由は、体調がすぐれず、と、仕事が忙しくなって、でした。

 

彼女だって、何度もやめていく機会はありました。途中学校の卒業もあったし、仕事も変わったし、一人暮らしも始めたし、結婚もしたし。

 

思い出はそれこそ数知れず。

 

あまりにも口数が少なく、表情も読めず、ひとつも楽しそうでないのに、入会した17歳。いろいろなことがありましたが、結果気がつけば、どんなに苦しくとも粘り強く、正しいと思うことは決して曲げない、まるで殉教者のごとくに無駄口をたたかぬ分、信頼感のある、(私はこれをまだ信じていませんが本人の言によれば)いつも笑顔を見せられる大人になったようです。

 

かつて初任給で万年筆を私にくれたので、今回こそはお返しを用意して、その日に臨みます。