体験レッスンで何が行われて、何をなさねばならないのかということを考えてみたいと思います。
講師と生徒、お互いが本能的な相性の判断をするのは勿論のこと。
なにせ、声の癖、というものは千差万別十人十色。その上で何を目指すかによっても、例えば限られた時間内で行うことと出来ることは変わって来るのです。講師は、決められたことを順々にこなしているわけではありません。
初対面で、密室で、恥ずかしがりやさんや歌の苦手な人が、風邪気味とか寝不足だとか飲み過ぎだとか、勿論緊張もして発声を行うわけです。限られた時間と条件の中で、問題点を究明し、その方に最善最適と思われる方策を示し、ご自身の声の可能性に気づかせてあげることに血道をあげるのです。雑談などしている暇はありません(私が言うと若干嘘くさいけれど、私の雑談はほとんどの場合、緊張をほぐす為の手段ですからと注記させて下さい)。
しかしいかに努めても、たいていの場合みなさん、余計な緊張を持ったまま発声してしまうのです。本当のいつもの自分はこんなんじゃないのに、と思われる方もほとんどでしょう。しかしそれでも入会、始めてみよう、という流れになる理由は、いらしたご自身の興味とやる気、もう一つは、ボイストレーナーのマジックです。このお仕事が技術職だと言える所以です。