実は過去七回のシブイ音楽祭を通じて私が留意して来たことがあります。
シブイでは発表会、と言っても、単にお上手に歌が歌えることは、ずっと後回しに捉えていました。
会場費捻出のためにも、そして何より、人に向かって歌う、人に相対して意思を伝える、という目的のためには、有料入場者が会場に満ちていること。聞いている人が目の前にいなければあまり意味はありません。
ということはつまり、ある程度面白くないと、お知り合いが歌い終わったら普通はみんなすぐ帰ってしまいますから、面白さの演出。
発表会において一体何が面白いと感じられるか?
それは、人間です。知り合いでもないステージに上がった普通の人、の魅力は、その人間そのものに尽きます。
それを表現してもらうために、私はそれぞれの生徒さんに、歌だけではなく、必ず話をしてもらうことを積極的にすすめてきました。
その際に当然、滑舌が問題になります。初めて相対する人に、きちんと分かってもらうためには、前提的に重要です。
だからその練習もします。
しかし、具体的に何を話したらいいかが分からない、という子も出てきます。そこが、私の大事なお仕事です。ひとりひとりの良さ、面白さをフォロー出来るのは、個人レッスンの時間において密に関わっているからでしょう。
シブイオンガクスタヂオは少し規模が大きくなりつつありますが、これらの点を押さえて行くことが出来なければ、やる意味がないとさえ思っています。