倒れない構造

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月曜日。さあやるぞと意気込むものの、取材やら何故かレッスンやら、思いの外、壁剥がしの作業に時間が充てられなかったのでした。

 

結局、一番先に取り外して運び去ってしまいたかった前面壁及び扉に対して、少しずつ少しずつ構造の深いところで重なるようにして東方面の壁が作られていて、つまり順序で言えば逆から攻めていけば良かったのかと、一枚一枚、棚やら化粧板を取り外しながら気がついたのでした。しかしその順番だと、この狭い床面に積んでいくほど身動きが取れなくなるからこそ、真っ先に扉部分をリムーブしたかったのにい。早くも狭くて息苦しいことになって来ていますよ。

 

 

なるほど、これなら天井部との圧着のみならず、部屋全体に密着して一枚の殻を作っているようなもので、簡単には倒れそうにないわけです。しかもとても狭いと来たら。いや、この執拗な作りは何なんでしょう。なるほど、この木造二階家屋でほぼ音漏れしない発声教室が可能だったわけです。あの頃私は意地になっていました。やりすぎだったとは、言いますまい。

 

一箇所取り除きたいのに、あ、ここが引っかかってて邪魔だわ、あらさらにそれも引っかかってて邪魔だわ、ありゃりゃどこまで取り除いてあげればいいのでしょう。

 

という状態も、喉のしまり、に通じるものがあるなあ、とつぶやきながらの作業です。ああ、この欠伸に似た脱力感をもって発声できる状態を意図的に作るには、あの肉が邪魔だわ、その関節が動かしにくくなってるわ、そもそも猫背が常態化し過ぎてるわ、筋肉がかたいわ、何より気持ちがかたいわ、そのくせ結果を求める欲求が強すぎるわ、おまけに自尊心が邪魔だわ、どうして焦るのよっ。と。

 

結論、無欲をもってひとつひとつ落ち着いて順序に従って解体すべし。壊れない家はない。