声優を目指す人は、多い。

声優を目指すという人たちがいて、私が独立するころから一定割合、通ってくる人は後を絶ちません。

 

ただ、十五年くらい前は、「声優は歌も歌えなくてはならなくて歌は苦手なのでなんとかしたいのです」、という言葉をよく聞きました。大変な時代になりましたねえ。と、迎えていたものです。

 

しかし近年は、専門学校生、或いはいわゆる養成所に通っているにもかかわらず、「発声が分からない、腹式呼吸が分からない」、と言った言葉を耳にするようになりました。裾野が広がったということなのでしょうか。

 

無名零細教室シブイオンガクスタヂオの役割としては、養成所で教えてくれなくて困っている方々へ発声の基礎、ことに、腹式呼吸を活かした発声を教えることこそが、担うべきお仕事と思うようになりました。

 

どうしてこんなことになったのかしらと考えるに、やはり基礎は面白くないから、専門学校ではやらないのでしょう。というのが、私の印象です。

 

まあよし、それならそれでと割り切って、あまりうたわないコースに力を入れたものでした。考えもしなかったことですがさらに近年は、舞台役者さんまでもが同じことを訴えていて、つくづく面白い時代になったものです。

 

今は、お芝居も出来る講師、ナレーションもこなす講師たちがいてくれるので、私の出る幕も不要です。

 

声優になるには?

 

声優になりたい人のためには、今やこのようなページもあり、その道の厳しさは充分に周知されています。それでも、それを目指すという人々の情熱は買うべきでしょう。シブイオンガクスタヂオがその一助になるのであればそれは、とても望ましいことです。

 

我々は養成所事務所どちらでもありませんから、大人の思惑とは完全に切り離して発声の基礎に専心できます。言わば分業制も、有効なのだろうな、と思います。

 

私などは、君ねこれ、出来てない他のお友達にも教えてあげてよ、なんて言うものですが、いや、あいつには差をつけたいので、と真顔で返されるわけです。お忍び教室です。私の思想とは反しますが、そこにこそ需要があるのですものね。面倒な持論は挟みますまい。